リモートチームの心と体を繋ぐ：健康増進系オンラインアクティビティが一体感・エンゲージメントを高める
リモートワークにおける健康課題とチームへの影響
リモートワークが普及し、柔軟な働き方が可能となる一方で、メンバーの健康管理は新たな課題として浮上しています。通勤時間の削減や自宅での作業は身体活動の機会を減らしがちであり、運動不足や肩こり、腰痛といった身体的な不調に加え、孤独感やストレスによる精神的な負担も懸念されています。
これらの健康課題は、個人のパフォーマンス低下だけでなく、チーム全体の活力やエンゲージメントにも影響を及ぼす可能性があります。心身の不調を抱えるメンバーが増えれば、コミュニケーションが滞ったり、協力体制が弱まったりするなど、チームの一体感が損なわれるリスクも高まります。
このような背景から、リモート環境下においてもメンバーの健康をサポートし、同時にチームの一体感やエンゲージメントを高める施策として、健康増進系のオンラインアクティビティが注目されています。
なぜ健康増進系アクティビティが一体感・エンゲージメントに貢献するのか
健康増進を目的としたオンラインアクティビティが、リモートチームのエンゲージメントや一体感向上に有効な理由はいくつか考えられます。
- 共通の体験と目標の共有: 一緒に運動したり、健康目標に挑戦したりすることで、メンバー間に共通の体験と目標が生まれます。これは、通常の業務とは異なる側面での繋がりを生み出し、連帯感を育む土壌となります。
- 非業務コミュニケーションの促進: オンラインでの運動やストレッチ、健康セミナーへの参加は、リラックスした雰囲気の中で自然なコミュニケーションを促します。これにより、業務以外の会話が増え、メンバーの意外な一面を知る機会が生まれます。
- ストレス軽減とリフレッシュ: 適度な運動や健康に関する学びは、ストレスの軽減や心身のリフレッシュに繋がります。心身ともに健康な状態であれば、業務への集中力やモチベーションが向上し、結果としてチーム全体のパフォーマンス向上にも寄与します。
- 企業への信頼感と安心感: 企業が従業員の健康を積極的に支援する姿勢を示すことは、メンバーの企業への信頼感や安心感を高めます。「大切にされている」という感覚は、エンゲージメントを向上させる上で重要な要素となります。
具体的な健康増進系オンラインアクティビティの例
リモートチームで実践可能な健康増進系オンラインアクティビティには様々な種類があります。チームの規模やメンバーの関心、導入可能なツールに応じて選択することが重要です。
- オンラインフィットネス/ヨガセッション: 外部のインストラクターに依頼したり、福利厚生サービスを活用したりして、オンライン会議ツールを通じて行うことができます。朝の短い時間や休憩時間、終業後に開催するなど、メンバーが参加しやすい時間を設定します。
- オンラインウォーキング/運動量トラッキングチャレンジ: スマートフォンアプリやウェアラブルデバイスを活用し、チームまたは個人で日々の運動量を記録・共有する企画です。期間を決めてチーム対抗で歩数を競ったり、目標達成度に応じてポイントを付与したりするなど、ゲーム要素を取り入れると盛り上がります。
- 休憩時間のストレッチ/簡単な運動: 短時間の休憩中に、オンライン会議ツールを繋いで全員で簡単なストレッチや体操を行います。数分でも体を動かすことでリフレッシュでき、意識的に休憩を取る習慣が生まれます。
- 健康セミナー/ワークショップ: 睡眠、食事、メンタルヘルス、座り仕事での体のケアなど、リモートワーク特有の健康課題に関するセミナーやワークショップをオンラインで開催します。専門家を招くことも可能ですが、社内の詳しいメンバーが講師を務める形式でも有効です。
導入と活用のポイント
健康増進系オンラインアクティビティを効果的に導入し、継続していくためにはいくつかのポイントがあります。
- 強制せず、気軽に参加できる設計に: 参加はあくまで任意とし、参加へのハードルを低く設定することが重要です。「〇〇しながらでもOK」「カメラオフでもOK」など、メンバーがプレッシャーなく参加できる雰囲気作りを心がけます。
- 多様な選択肢を提供: メンバーの運動習慣や体力レベル、興味は様々です。特定の種類の運動に偏らず、いくつかの選択肢を用意したり、短時間・長時間など複数の形式を提供したりすることで、より多くのメンバーが自分に合った活動を見つけやすくなります。
- 進捗や成果の共有と称賛: ウォーキングチャレンジの歩数ランキングを発表したり、オンラインフィットネスに参加したメンバーが感想を共有したりするなど、活動の様子や成果をチーム内で共有する仕組みを作ります。互いの頑張りを認め合い、称賛する文化は一体感を高めます。
- ツール活用の検討: オンライン会議ツールだけでも基本的なセッションは可能ですが、ウォーキングチャレンジには専用のアプリ、フィットネスにはオンデマンド配信サービスなど、目的や予算に応じてツールを検討することで、より効果的に活動を推進できます。導入の容易さや費用対効果も考慮し、まずは無料で試せるツールから始めるのも良いでしょう。
- 継続的なコミュニケーション: 定期的に活動へのフィードバックを募り、改善点がないかを確認します。また、活動の意義や健康へのメリットを継続的に発信し、メンバーのモチベーション維持を図ることも大切です。
まとめ
リモートワーク環境における健康課題への対応は、個々のメンバーのウェルビーイングだけでなく、チーム全体のエンゲージメントと一体感を高める上でも重要な要素です。健康増進系のオンラインアクティビティは、共通の体験を通じてメンバー間の繋がりを強化し、心身のリフレッシュを促す効果的な手段となり得ます。
導入にあたっては、強制感をなくし、多様なニーズに応えられる選択肢を提供すること、そして継続的なコミュニケーションを通じてメンバーの関心を引き続けることが成功の鍵となります。健康経営の一環として、これらの活動をチーム運営に取り入れることは、リモートチームの活力を高め、持続的な成長を支える一歩となるでしょう。